試験対策講座 刑法総論・刑法各論 第3版

試験対策講座 刑法総論 第3版

試験対策講座 刑法各論 第3版

著:伊藤真 版:弘文堂 総論:2007.12 各論:2007.12

試験対策講座 刑法総論試験対策講座  受験界カリスマ講師の著、シケタイと呼ばれる。伊藤塾の講座テキストを一般書籍にしたもので、業界ベストセラーである。基本概念、重要判例、本試験過去問等、重要ポイントにメリハリをつけて独習できるテキストとして人気。はじめて法律の勉強をする方で も読みこなせるはずだ。
 大学教授の基本書(体系書・概説書・教科書)は、やや教育的配慮に欠けているところがある。特に刑法の基本書は、最初のページから順に読み進めても外国語のような法律専門用語のオンパレードである。試験対策講座を使えば、初学者の悩むポイントでやさしい解説が挿入されるので、順に読み進めることができる。初学者が混乱しがちなところを事前に予測してあるようで、そこでは優しく語りかけるような仕掛けがある。ナイスタイミングでカリスマ講義を再現するわけだ。

 刑法の論文試験では、論理矛盾・体系矛盾が致命傷になるといわれる。しっかりとした刑法の体系を早い段階でマスターしたい。この本は、通説的立場から分かり易く体系的に整理してあるので、木の幹となる刑法の体系をすんなりインプットすることができると思う。さらに、試験対策を謳うだけあって序盤から試験を意識させられる実践的な内容だ。司法試験受験生の導入としては最高である。論証カードやフロチャートは好みが分かれるが、初学者 がメリハリをつけて学習するのに向いている。試験対策講座を通読すれば、もはや入門講座は不要であろう。学部試験対策や各種国家試験対策として用いられることもある人気の本である。横書き、2色刷。

 なお、予備校本は、学者の基本書にくらべて信頼性が低いと言われる。本書には目立った論理矛盾等を見つけることはできないが、学問的にどうなの?という箇所はある。複雑な議論をあえてシンプル・平易な議論のレベルに落として書いてあるところ等は特にそうだ。だからこそ初学者でも取り組みやすいのだが…。最初から最後までシケタイ一冊で通すことはおすすめできないし、できないはずだ。疑問に思ったときは他の定評のある文献にあたるべきなのは言うまでもない。予備校本というのは、要は「使いよう」なのである。