ケースで学ぶ国際私法 野村美明

ケースで学ぶ国際私法

著:野村美明 版:法律文化社 2008.6

ケースで学ぶ国際私法  国際的なビジネスや家族生活に実際に使える生きた国際私法を学ぶため、設例や判例を用いて具体的に理解できるよう工夫。法科大学院・法学部でのケースメソッド教材としても最適。タイトル横の本のアイコンから、はしがきにリンクしてます。

はしがき

 日本の裁判所では日本の法令が適用されるのが当たり前のようであるが、事件によっては外国法を適用すべき場合がある。例えば被相続人が外国人であるとい うような国際的(外国的)な要素を含んだ事件が双である。このような国際的な事件にどこの国の法を適用して判断すべきかを決めるのが、国際私法の実際的な 役割である。国際私法が「法の適用に関する法」であるというのは、この意味である。
 国際私法は、紛争に適用されるだけではなく、日本の法システムの中で、国際的な取引関係や家族関係に法的な安定性を与える重要な役割を担っている。この ような国際私法による障害的な法秩序の形成と秩序維持機能は他の法分野からの類推が働きにくく、国際私法は抽象的で取っつきにくいと言われてきた。しか し、現在では紛争以外における国際私法の適用場面は飛躍的に増大している。国際私法は、裁判社戸籍実務だけではなく、国際取引の最先端で利用差rている空 である。このような動向を受けて、日本の国際私法の基本法である「法例」も大改正され、「法の適用に関する通則法」が成立した。
 この本は、国際的なビジネスや家族生活に実際に使える生きた国際私法を学ぶことを目的にしている。そのために必要な3つの特徴を有している。(1) 設例や判例を用いて問題点を浮かび上がらせ、国際私法のルールや理論的ポイントが具体的に理解できるように工夫した。(2)この本だけで基本が学べるよう に、日本の国際私法の条文は本文で引用すると共に、理解の助けになる外国法や条約上の国際私法ルールも資料として掲げた。(3)現実の問題の処理に必要な 国際民事手続法と国際取引法のポイントも押さえている。
 この本で学ぶ人は、国際私法のルールと考え方を身につけ、現実の問題を解くことができるようになる。この本で学ぶことによって、司法試験(国際関係法・私法系)の論点もカバーすることができるはずだ。この本で教える人は、法科大学院はもちろん、法学部やそれ以外の学部でもケースメソッドやプロブレムメソッドによる授業を試してみることができる。
 筆者らは、この本を通じてなるべくたくさんの人を国際私法のダイナミックな世界に招待したいと希望している。国際私法は、日本法と外国法をつなぎ、日本と世界をリンクする。国際私法は、日本の法システムに設けられた外国法への窓なのである。
 この本の設例の原型は、編者がかつて同志社大学法学部で10年にわたって講義を行った際に作成したものである。貴重な意見を頂いた当時の学生諸君に感謝 する。最後に、この本の企画から成立まで忍耐強くつきあっていただいた法律文化社の秋山泰さん、そして構成に協力してくださった大阪大学法科大学院の学生 諸君原稿整理から索引作成まで献身的にお手伝いいただいた大阪大学特任研究員の藤澤尚江さんに筆者一同より心よりお礼申し上げたい。

20007年10月
野村美明