憲法 著:渋谷秀樹

憲法 2007.12

 

 憲法 (単行本) 大著。762頁。立憲主義に立脚した諸外国の憲法のベースになっている思想を踏まえた上で,論理的・体系的に現行憲法の全体像を詳らかにすることをめざして叙 述されている。現在の社会状況も視野に入れつつ,条文にしっかり根ざした解釈論を網羅的に展開する新しい体系書。

 渋谷秀樹は司法試験委員も歴任。試験委員に任命されるまで辰巳でよく講義をされていた先生である。頂きました情報によりますと、昔、渋谷先生は行政法を他大学で教えていたこともあるようです(ソース、『法学セミナー』での2007年新司法試験を特集している増刊号)。


 基本書の予備校本化傾向とは無縁。いまどきの教科書は教育的配慮に富み、フォントを変えたり囲みにしたり二色刷にしたりとビジュアル面にも配慮があるものだが、この本は横組みである以外にそういう色はない。また、判例を説明するときに無遠慮な引用がされる。つまり、「このように判決文が括弧で抜き書きされて引用され」、それが幾度も幾度も挿入され、文章全体を読みにくくさせている。一つのテーマを重点的に調べるときは苦に感じないが、全体通読のときにはしんどい。さらに、一つの段落の中で学説や判例をいったりきたりするので、深みがある分だけ読みづらい印象。

 

 他国の法制度との比較や発展的内容も多く、余計なことがたくさん書いてある。法律の基本書とは学術書であるのでアカデミックなのは当たり前であるが、外来語の本来的な意味を示すためにまでいちいち括弧書きがある。受験生向きとは言えない。