会社法入門 第12版

会社法入門 第12版

著:前田庸 版:有斐閣 2010.3

会社法入門 入門というタイトルがついてますが、ふつーに分厚くしっかりした基本書です。入門書だと思って買うと目玉が飛び出ますよ。11版ということからもわかるように、売れ続けている定番基本書で、最新版でも制度趣旨の丁寧な記述は健在です。基本知識と制度趣旨から始まって、ハイレベルな論点にまで踏み込んだ内容は、初学者から司法試験受験生・実務家までの幅広い読者のニーズに応える。

 

会社法入門第11版 著:前田庸 はしがき

 この第11版は、平成17年に制定された会社法(法86号。以下、これをたんに「会社法」といい、それとの対比で、これまでの商法点に含まれていた会社法を「旧会社法」という)の内容を織り込んだものである。

 会社法は、形式的にみて、旧会社法との間にあまり脈絡のない新規な立法であるように受けとられ勝ちである。しかし、実質的に見れば、それは、決してその ようなものではなく、旧会社法の延長線上にあって、その中で相当な実質改正が実現されたものと捉えることが可能であると考える。

 たとえば、会社法のものとでは、機関の構成について、大幅に自由化されたといわれている。しかし、大会社で公開会社については、会社法のもとでも、取締 役会、監査役会及び会計監査人(監査役会は委員会設置会社では除かれる)が必置の機関とされ、その点では、旧会社法の下での商法特例法上の大会社と同じで ある。会社法のもとで機関構成が大幅に自由化されたように見えるのは、主としてその自由が認められていた有限会社が会社法の下で株式会社に組み込まれたか らであるといういい方も不可能ではない。

 そうだとすると、会社法は、昭和50年以来、法制審議会商法部会(当時の部会長は、私の恩師・故鈴木竹雄先生。その後、平成13年に会社法部会と改めら れた)において続けられてきた会社法の全面改正作業の集大成されたものと理解することが可能である。その間になされた数次の会社法改正の内容の大部分が会 社法の中に組み込まれていることも、このことを裏付けるものということができる。

 以上のような考え方から、本書では、できるだけ会社法につき、旧会社法との関連を明らかにするように努めた。従来の制度にこだわっている面もないではな いかもしれない。たとえば、会社法の下では資本充実の原則は放棄されているといういわれ方がなされていることが多いが、本書では、会社法のもとでも、この 原則が維持されているとして取り扱っている。そこには、長年にわたって会社法の分野において培われてきた文化遺産をできるだけ尊重したいという私の気持ち の表れという面もないではない。

 第11版の改訂の作業は、これまでの改訂作業に比べて、格段ときびしいものであった。まさに自ら老骨に鞭を打ってやっとここまでたどりついたという感じである。その間にいろいろな方々から頂いた御教示及び御厚情に心から感謝をしたい。

 有斐閣編集部の神田裕司氏には、このたびはことに大変な御苦労をおかけし、また激励をいただいた。厚く御礼を申し上げる。

 本書が会社法の理解に何らかのお役に立てばさいわいである。

2006年5月
前田庸