判例講義 会社法

判例講義 会社法

編:倉澤康一郎 版:悠々社 2007.4

判例講義 会社法 会社法重要150判例を、1判例あたり1頁~3頁で気鋭の研究者25名が解説する。悠々社の判例講義シリーズは、教育的配慮から一貫した方針で編集されているので読みやすい。重要判例には3ページを使って詳しく解説するので、ロースクール既習クラスの判例研究に良い。

 

判例講義 会社法 倉澤康一郎/奥島孝康/森淳二朗 編  発刊にあたって 倉澤康一郎

 今ここに、株式会社悠々社が企画・刊行を続けてきた「判例講義シリーズ」の一環として『判例講義会社法』を発刊する。執筆陣に加わっていただいた気鋭の 中堅会社法学者諸先生の御尽力をえて、これまでそれぞれ読者、特に司法試験受験生に好評をもって受けいれられてきた本シリーズの各編と同様に、充実した内 容の論稿を編集しえたものと自負している。
 判例は、法規を実際に起こった事実に適用してその規範的意味内容を具体化するものであるから、それ自体が一つの「生きた法」であるとともに、法解釈論に 対して、その社会的な妥当性を問いかける試金石としての意義をもつものであるといえる。法学、特に実用法学としての法解釈論を学び、研究するにあたって、 判例を知ることの必要性はまさにその点にある。
 ただ、「判例を知る」とはいっても、それが単に片々たる知識の集積であっては、適用された法規の真義を解明することには結びつかない。なぜなら、個々の 判例は、その分野の法の体系的な理論ないしは制度全体をつらぬく理念という巨木にとっては、一本の枝先に咲いた一個の花またはその果実にすぎないもので あって、それがほんらい咲くべくして咲いた花、実るべくして実った果実であるといわんがためには、体系的理論ないしは制度的理念との関係においてその判例 のもつ意義が考究されなければならないからである。
 そのために、本書では特に、一人の執筆者が得意とする一つの領域を担当し、その領域に関する複数の判例につき相互的に連結した解説をすることによって、 一貫的な考察がなされうるものになることを意図した。また、個々の判例についての解説の中で、「判例の流れ」および「判例の法理」をそれぞれ独立の項目と したことも、同様の意図にもとづく本書の特色であるものといえよう。
 もう一つの本書の特色として挙げうるのは、一般のケースブックや判例演習書にくらべて、相対的に多数といえる150判例を採り上げている点である。この ことによって、大審院・最高裁判例を中心とする典型的なリーディングケースのほかに、下級審判例や、最高裁判例の中でも通常は先例を踏襲したものとしての み引用されているにすぎない判例の中で、法理的に重要なポイントを含むものを収めている。これらのポイントは、特に本書が設けた「判例を読む」という項目 の中で、それぞれの執筆者の関心が示されているので、読者におかれては、その含蓄するところを読みとって欲しいとおもう。
 「会社法」は平成17年の商法改正にともなって独立の法典となり、内容上も大幅に改正されたが、本書では、会社法と旧商法の条文を併記するとともに、旧 商法上の判例のもつ意義と会社法の規定との関係についての言及にも心がけて、会社法の判例講義としてアップデイトなものであることに努めた。
 最後に、編集者を代表する者として、御多用の中で貴重な原稿を賜った執筆者諸先生、ならびに共同編集者である奥島孝康教授および格別な御尽力をいただいた森淳二朗教授と、悠々社の皆さん特に同社の須藤忠臣氏に、深甚な謝意を捧げる。
 平成19年3月