プラクティス債権総論 第3版 潮見佳男

プラクティス債権総論 第3版

著:潮見佳男 版:信山社 2007.4

プラクティス債権総論 第3版 バカ売れ。債権総論の最高水準。薄めの基本書に書いてない事を調べるにはこれでしょう。「民法総合事例演習」での必読文献でもあります。要件事実論への言及もあるうえに、うわべだけの暗記では済ませられないロースクール生の需要と相まって、すごく人気がある。ただしハイレベルです。
 今回の改訂第3版では、預貯金者保護法と賃金業法の改正に対応した。潮見先生も、本書が自身の講義・演習だけでなく、司法試験受験生に広く読まれていること、そして支持されていることを認識されて、第三版ではそのような視点で配慮の行き届いた記述になっている。加筆修正の結果、第2版から100頁分の増加。同じ信山社から、平野先生のプラクティス債権総論という本がありますが、それとは別の本です。第二回新司法試験でモロに問われた債務不履行についての過失責任原則は原則ではないという例の話にもきちんとした分量で記述されてあります。

 

 

プラクティス債権総論 民法 潮見佳男

 

 ここは、ちょうど、第2回新司法試験で問われていた、債務不履行解除に帰責事由は不要であるという最近の議論について触れてあるところです。写真は冒頭 部分だけですが、この次のページに丸々1頁を割いて重要なこと(伝統的通説、最近の議論、法改正への流れ等)が書いてあります。

 

 

プラクティス債権総論 民法 潮見佳男

Case中心に記述がすすむイメージ画像です。

 

初版 はしがき プラクティス債権総論 第3版 潮見佳男 信山社

 本書は、著者が京都大学法学部で民法3部の講義を担当する際の予習用テキスト、ならびに京都大学法科大学院で開講される民法の基幹科目(民法総合1・2・3。2,3年次配当)を担当する際の学部習得内容確認用テキストとして執筆したものである。
…(つづき)債権総論その他民事法の現在の理論的到達点を踏まえてみずからの体系知・理論知を示すことを目的とした「債権総論[第2版]Ⅰ」・「債権総論[第2版]Ⅱ」とは、目的を異にする書物として書き下ろしている(自分自身の考え方と現在の理論動向が極端に一致していない場面では、あえて自説にこだわっていない箇所も少なくない。たとえば詐害行為取消権における責任説、492・493条の弁済供託制度無用論、事情変更原則に対する評価など。これらについては、「債権総論[第2版]Ⅰ」・「債権総論[第2版]Ⅱ」を見ていただきたい)。それでも、民法関連の学習用教材が氾濫するなか、水準面において決して易きに流れたものでないことは、本書を通覧すればわかることである。
 本書では、著者自身の手になる「相続法」(弘文堂、2003年)と同様に、Caseを多用している。これは、いくら理論を学んでも、どのような場面でその理論が使われるのかがわからなければ、解釈学としての意味をなさないと考えたことによる。しかし、読者の方々は、本書が個々のCaseに回答を与えることを目的としているのではなくて、むしろその逆に、原理・制度・概念といった骨格部分を理解するためにCaseを説明中に組み込んでいることをするであろう。これこそが、本書の狙うところであると言って良い。
 実際、本書には、 Caseに対する「答え」のようなものをほとんど書いていない。そもそも、債権総論の知識を用いただけで問題に対する答えが出てくる場合など、まずない。しかも、(およそ債権総論に限ったものではないが)民法教育で獲得目標としているのは、「背後にある思想・原理とともにする基本的な制度・概念の正確な理解」・「要件・効果の的確な把握」・「推論のための基本的手法の習得」である(法科大学院の学習では、さらに、「請求・抗弁方式での要件事実と主張・立証責任の理解」がこれに加わる)。プロフェッショナルを目指す者には言うまでもなく、一般教養として民法を学ぶ者も、「落としどころを探す」・「最初に結論に狙いを定める」などといった安直な評論家風の技法は、理論法学からも実用法学からも、最も遠いところにあるものであることを肝に銘ずべきである(特に、初学者は、研鑽と経験を積んだ実務法曹やベテラン研究者が口にしがちな「落としどころ先行型の論評」を真似してはいけない)。
 本書の出版に際しては、「債権総論[第2版]Ⅰ」・「債権総論[第2版]Ⅱ」・「契約各論Ⅰ」・「不法行為法」と同様に、信山社の渡辺左近氏にお世話になった。また、原稿の査読にあたり、平成15年度の潮見ゼミ参加者のなかから、遠藤郁哉君、落合秀紀君、笠谷慎一君、高瀬美穂さん、武田直大君、橋口祐介君、福江巧君、益澤彩さんのご協力をいただいた。彼ら彼女らのボランタリー・スタッフとしての尽力と数々の指摘がなければ、この時期におけるここまでのレベルと内容をもった書物の刊行は無理であった。心からの御礼を申し上げる次第である。また、言うまでもなく、本書の基礎には、京都大学法学部での講義・演習での蓄積と、これらを通じての多くの学生との日々の交流がある。この恵まれた教育環境には、教官として感謝するところが大きい。さらに、本書第5章以下の部分の原稿のもととなった草稿は、大阪大学法学部において非常勤講師として担当した平成15年度の「民法Ⅲ」の講義の際に、レジュメとして配布し、実際に使用して内容を確認してみた。末尾ながら、一年を通じ大講義室を埋めて熱心に私の講義に耳を傾け、多くの有益な質問を出してくださった同大学の受講生諸氏に感謝したい。
 本書のタイトルにある「プラクティス」は、“One always has to keep in practice.”から採ったものである。民法理論への習得へ向けて不断の研鑽を積み、あるいは、既に習得した内容を再確認し、法的思考力を磨くための一助として、本書が役に立てば幸いである。

 2004年2月
 潮見佳男

 

第3版 はしがき

 法科大学院発足後3年を経過し、法科大学院での授業及び学部での授業について、おおよその方向性が見えてきたことから、第3版を出すことにした。旧版までは、主として私の授業に参加する学生を読者対象として組み立てていたが、今回の改訂にあたっては、本書を私の授業とは別に自習用・予習用その他の目的で用いる読者も少なくないようである点を考慮し、記述の内容・叙述の順序等について若干の改良を加え、汎用性を確保するとともに、初版以降に学部や法科大学院での授業の際に受けた質問等をふまえてCaseの追加ともども加筆をし、いくつかの注について追加・入替えをし、気のついた誤記を改めた。
 あわせて、今回の改訂では、第2版とは異なる観点からの叙述も盛り込んだ。それは、この数年間で、契約責任法理をめぐる基礎理論の展開が急であること、そのなかには近時の学界をにぎわわせている債権法の改正に向けた議論の核心につながるものが少なくないことを考慮し、債権法・契約法の法理を考えるうえでの理論的基礎として重要な点について、やあyくわしい説明を加えた点である。基本的な考え方を学ぶ学部での専門教育はもとより、法科大学院における法律家の養成を目指した理論教育にとって、さらには、実務法曹の方々にとっても、「今どのような説明がされているか」、「現在の法状況がどうであるか」という点の理解とともに、(あるいは、それ以上に)「理論的にはどのような正当化・論証がおこなわれるべきか」ということのもつ重要性を意識してのことである。旧版に比して増えた100頁分は、この観点から第1章・第2章・第3章の説明を厚くしたことによる。
 今回の改訂では、新しい判例、立法、とりわけ預金者保護法の制定、利息制限法、貸金業法、民法施行法の改正などの動きも反映させた(なお、本文中、民法については、条文番号のみで引用した)。

 2007年2月 潮見佳男